【開業事例インタビュー】保険業界から福祉へ――未経験から4年、「自立支援」にこだわるグループホーム経営者の挑戦

自衛隊、バイク屋、保険営業――異色の経歴から福祉の世界へ
富山出身の谷口さんは、自衛隊、バイク販売、そして13年間の保険営業と、福祉とは全く無縁のキャリアを歩んできました。名古屋で保険業を営む中、「自分で事業をやりたい」と考え始め、インターネットで様々な事業を探していた時、偶然、障がい者グループホームの説明会の情報を目にします。
「たまたま説明会の情報を見て、一回聞いてみようかなと思って参加しました。そこで周りの参加者にも話を聞いてみたんです。スーツを着た方に『どうですか?』って聞いたら、『ものすごくいい仕事だと思うよ』って言われて、少しずつ興味を持ち始めました」
約4年前のこの出会いが、谷口さんの人生を大きく変えることになります。
株式会社GRAKC代表として、現在は「ねヲはる」という名称で障がい者グループホームを運営。開業から4年で19名の利用者さんを支援し、さらなる拡大を目指しています。
決断の決め手は「現場のリアルな声」
説明会に参加した谷口さんでしたが、すぐに決断したわけではありませんでした。本当に自分がやるべき仕事なのか、実際の現場を見て判断したい――その思いから、谷口さんは運営者に直接お願いをします。
「綺麗事ではなく、リアルを知りたかった」
「代表の方に『現場を見たい』とお願いしました。それも、社長さんとか上の方がいない時に行きたいと。リアルなところを見たいし、現場の生の声を聞きたかったんです」
名古屋市北区のグループホームを訪問し、当時4年間勤務されていたスタッフの方と1時間ほど話をした時のことを、谷口さんはこう振り返ります。
「その方が『あんたらみたいな若い人がこういう福祉をどんどんやってくれると、今日見てもらった利用者さんの行き先というか選択肢も増えるから、どんどんやってほしい』って言ってくれたんです」
実際の利用者さんの日中の動き、働いている方のリアルな声――その全てを見て、谷口さんは「どうせ事業やるんだったら、人の役に立てる仕事の方がいい」と決意しました。
「大々的になると綺麗事を言いたくなるというか、つい格好つけて言ってしまう。でも現状はまたリアルなところで違うんじゃないかと思って、自分でも一回見てみたかったんです。自分の目で見た上で判断したかった。その環境を作ってくれたのは本当にありがたかったですね」
開業支援を活用「目に見えないフォローが大きかった」
福祉未経験の谷口さんにとって、開業支援のサポートは不可欠なものでした。
物件探しから申請手続きまでワンストップ
「全くやったことないところからポンと始めているので、サポートがないとこのスピード感では100%できないですし、相当な思いがないとそこまで至らないんじゃないかと思います」
特に谷口さんが評価するのは、村中理事による「目に見えないフォロー」でした。
「物件の紹介だけじゃなくて、フォローとか気遣いをしていただいたり――そこが結構大きかったです。僕らから言わずとも、雰囲気で感じて連絡をくれたり、時間を取って話を聞いてくれたり。その目に見えないところが本当に大きかったですね」
妥協しない物件探し
物件探しでは何度も「今回は見送ります」と断ることもあったそうですが、村中理事はそれを受け止め、新たな物件を提案し続けてくれました。
「こっちも断りづらくなる時もあったんですけど、でも僕らもやっぱり人生かけてやっているので妥協もしたくない。逆に言うと、僕らのその思いを分かっていただいて、色々なアプローチをしていただける。何度も『今回は』って言っても、また提案していただける――そこは本当にありがたいし、なかなかないんじゃないかと思います」
立ち上げの苦労「利用者さん集めが最大の課題」
開業当初、谷口さんが最も苦労したのは利用者さん集めでした。
「認知されていないというか、ポンと始めたばかりで。営業のタイミングも自分では遅かったと思うんですが、利用者さん集めは最初は相当苦労しました。どうなっちゃうのかなって不安もありました」
相談支援専門員との関係構築に奔走
基幹相談支援センターに営業に行っても、若い所長さんだと思って1時間くらい真剣に話したら「すいません、今日所長いないんで僕が代わりに来ました」と言われ、実はその方が新人の職員だった――そんなエピソードも。
「バーは高いなと思いながらでも、やっぱり一生懸命回ったり、チラシを配ったりしていると、仲良くなって、夜ご飯を一緒に行くような方も出てきて。人間関係ができてくると違ってきますね」
最近では、以前お付き合いのあった相談支援専門員の方が別の部署に異動した後も、そこから新たな紹介をいただけるようになったそうです。「一生懸命人間関係を作って信頼していただいた結果かな」と谷口さんは語ります。
運営理念「ねヲはる」に込めた想い
谷口さんが運営するグループホームの名称は「ねヲはる」。この名前には、谷口さんの福祉に対する強い想いが込められています。
「根を張って、大きく育ってほしい」
「大きくここで根を張って、大きく育ってほしい――そういう意味を込めて『根』をねヲはるにしました」
この理念は、谷口さんの運営方針に明確に反映されています。
「自立支援」を何より大切に
「ここは終の棲家じゃないと思っています。できることは絶対にこちらはやらないです。やれなかったら一緒にやって、やれるようにしていく――そういうスタンスです」
「スタッフには逆に怒ります。やれること、やれていることを先回りしてやっちゃうと、彼らの可能性を奪わないでくださいって言ってます」
この方針について、谷口さんは「利用者さんにとっては僕が厳しいって見えている方もいるかもしれない」と認めながらも、「その方のことを思って、絶対にここはやっちゃいけないというラインは引いています」と語ります。
入居時にしっかりと方針を説明
「最初の入居の時、親御さんとか相談支援専門員さんに、こういう思いでやっていますってきちっとお話しします。どういうスタンスで僕らがやるかを説明して、納得していただいた上で入居していただいています」
「何でもしてほしい、選択も全部してほしいというのであれば、うちじゃないですねと。グループホームはいっぱい選択肢があるので、そういうところを選ばれた方がいいんじゃないかと。そこのプライドだけは持ってやっています」
利用者さんへの向き合い方「まず受け入れる」
谷口さんのもう一つの特徴は、利用者さんの受け入れに関して寄り好みをしないことです。
「紹介があった方は全て受け入れています。まずは僕らの経験値にもなりますし、寄り好みは絶対にする仕事ではない。まず受け入れることが大事だと思っています」
「その中で僕らができることをやって、相談支援専門員さんとは連携をすごく密にして、それでも難しかったら『ここまでやったんですけど』って相談しながら、その方にとって一番いい方法を一緒に考えます」
利用者さんの変化が何よりの喜び
「最初は不安もありながら、とにかくその方を中心に考えようと一生懸命やっていると、感じてくれる方もいて、前はこうだったけどここでは穏やかになっているという変化が出てくる。それがやりがいですね」
年に1回、プロの写真家の方に利用者さんの写真を撮影してもらい、相談支援専門員さんや家族に見せているそうです。
「『あんなに大変だった人がこうなった』という姿を見ていただくと、僕らも嬉しいですし、周りの方にも安心していただけると思います」
経営者として、支援者として――資格取得にも挑戦
谷口さんは開業当初、福祉の資格を何も持っていませんでした。しかし、運営を続ける中で「雰囲気に根拠が欲しかった」と考えるようになります。
サービス管理責任者、そして相談支援専門員へ
「利用者さんに楽しい雰囲気でやってもらいたいけど、ちゃんと実は土台があって、根拠があって支援をしているんです――そういう風に持っていきたかった。なので、僕がまず理解しないとと思って勉強しました」
昨年、サービス管理責任者の資格を取得。現在は相談支援専門員の資格取得に向けて勉強中です。
「ヒアリングの技術もないので。僕がより知識があることで、スタッフさんにも色々お伝えできることがあると思って取り組んでいます」
「この仕事、楽しくてしょうがない」
「広告に釣られたのは正直あります。でも、やってみたらこの仕事すごく楽しくなってきて、最近は楽しくてしょうがないんです」
「色々な方と触れ合いながら、彼らの何気ない日常をフォローしているというところがすごく楽しい。定期的に事件が起こるので、それも僕のネタの一つになっています(笑)」
「スタッフさんには『楽しくやりましょうよ』って言ってます。来る時に楽しい気持ちで来てもらわないと、それは伝わりますから」
今後の目標「もっと多くの方のお役に立ちたい」
現在、谷口さんのグループホームには19名の利用者さんが入居しています。サービス管理責任者1人あたりの上限が30名であることから、まずはその数字を目指しています。
「当初はやっぱり30名までなんで。スタートしてまだ19名のお役にしか立てていない。人生かけてやったことなんだから、もっと増やしたいなと思います」
「30名まで早く持っていきたい。その先はもっともっとお役に立てることを考えたいと思っています」
多角的な支援の必要性も感じ始めて
「今はぶつ切りの支援になっちゃっているので、もうちょっと多角的にできれば、彼らに対してもっといい支援ができるんじゃないかと考え始めています」
これから開業を考えている方へのメッセージ
最後に、谷口さんからこれから開業を考えている方へのアドバイスをいただきました。
「まず一歩踏み出してみることが大切だと思います。僕も全く未経験から始めましたが、やってみれば分かることがたくさんあります」
「最初は不安もありましたけど、サポートを受けながら、相談しながらやっていけば大丈夫です。やりたいと思ったら、まずやってみることをお勧めします」
まとめ:未経験でも「想い」があれば道は開ける
谷口さんの事例から学べるポイント:
- 異業種からでも参入可能 – 福祉未経験でも、学びながら成長できる
- 現場を見ることの重要性 – 綺麗事ではなく、リアルを知った上で決断
- 開業支援の活用 – 物件探しから人間関係まで、トータルなサポートが成功の鍵
- 人間関係の構築 – 相談支援専門員との信頼関係が利用者紹介につながる
- 明確な運営理念 – 「自立支援」というぶれない軸が質の高い支援を生む
- 学び続ける姿勢 – 資格取得を通じて専門性を高める努力
- 楽しむこと – 経営者自身が楽しむことが、スタッフ・利用者にも伝わる
「ねヲはる」という名前に込められた「根を張って、大きく育ってほしい」という想い。保険営業から福祉の世界へと転身した谷口さんの挑戦は、「未経験でも、想いと適切なサポートがあれば、質の高い福祉サービスを提供できる」ことを証明しています。
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一般社団法人 障がい者自立支援サポートでは、グループホーム開業を検討されている方向けの無料説明会を開催しています。
説明会では以下の内容をお伝えします:
- 初期費用を1,000万円以上削減する方法
- 収支シミュレーションと事業計画
- 物件選定から開業までの具体的な流れ
- 運営サポート体制について
- 実際の開業事例のご紹介
参加特典:
- 物件同行サービス(講師が実際の物件探しに同行・1回無料)
- 個別相談会(後日、講師に直接質問できる機会)
- グループホーム訪問ビデオ(実際の運営の様子を収録した非公開映像)
開催スケジュール
- 開催時間:14:00〜16:00(約2時間)
- 会場:一般社団法人障がい者自立支援サポート事務所
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運営団体情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 一般社団法人 障がい者自立支援サポート |
| 設立 | 2016年12月1日 |
| 所在地 | 〒462-0854 愛知県名古屋市北区若葉通2-3 第3諏訪ビル |
| 電話番号 | 052-911-5050 |
| メールアドレス | [email protected] |
| 開業支援実績 | 280棟以上 |
この記事は実際の開業事例をもとに作成しています。個人が特定されないよう一部内容を編集しています。


