【開業事例】建設・スポーツ・アパレル。異業種3人の共同経営で挑む、障害者グループホーム運営のリアル

「1人だったら、絶対に心が折れていたと思います(笑)」
建設業、野球教室・スポーツショップ、そしてアパレル。全く異なる本業を持つ3人の経営者が集まり、立ち上げた株式会社スリーストライク。
「副業として、何か社会貢献になる事業を」というきっかけから始まった彼らの挑戦は、現在岐阜県内で2棟のグループホーム(「緑の暮らし」シリーズ)を運営するまでに成長しました。
なぜ「3人」だったのか? なぜ「障害福祉」だったのか?
共同経営ならではの強みと、運営のリアルな裏側を、代表の勝原さん、杉本さん、柴田さんの3名に語っていただきました。
プロフィール|株式会社スリーストライク
- 代表: 勝原貴志さん(建設業)、杉本隆人さん(野球教室・スポーツショップ)、柴田康平さん(アパレル)
- 運営拠点:
- 緑の暮らし北方(本巣郡北方町高屋104-8、2025年3月開設)
- 緑の暮らし笠松(羽島郡笠松町松栄町45、2025年8月開設)
- 運営体制: 本業を持ちながらの共同経営(3名代表制)
- 福祉業界経験: 開業時はゼロ(現在も本業と並行)
- 今後の目標: 3棟目の開設、事業の安定化と継続的な拡大
「3人だから始められた」異色の共同経営スタート
きっかけは「共通の友人」と「社会貢献」
3人が集まったきっかけは、少し不思議な縁でした。
勝原さん:「元々は僕と杉本君の共通の友人Aがいて、『何か社会貢献になる事業をやろう』という話が出たのが始まりです。でも、言い出しっぺの友人Aが抜けちゃって(笑)」
そこで杉本さんが声をかけたのが、高校の同級生である柴田さんでした。
柴田さん:「僕は勝原さんとは面識がなかったんですが、杉本が言うなら間違いないだろうと。信頼だけで乗っかりました」
杉本さん:「みんな本業を持っているので、畑違いのことをやるなら1人より共同でやった方がいい。リスクも分散できるし、知恵も出し合える。そう考えて3人でスタートしました」
なぜ「障害者グループホーム」だったのか?
数ある事業の中で、なぜ障害福祉を選んだのでしょうか。
勝原さん:「最初は老人ホームなども考えましたが、すでに飽和状態だと聞きました。一方で、障害者グループホームは圧倒的に数が足りていない。『必要とされているのに、場所がない』という現状を知り、そこにビジネスとしての可能性と社会的な意義を感じました」
杉本さん:「本業があるので、自分たちが現場に張り付かなくても回る仕組みが作れること、そして一度軌道に乗れば安定する『ストックビジネス』であることも魅力でしたね」
開業準備期間|説明会から開設まで
説明会参加から決断まで
杉本さん:「最初は僕がネットで障害者グループホームの開業支援の説明会を見つけて、3人で参加しました。話を聞いて『これならいけるんじゃないか』と思いましたね」
柴田さん:「正直、福祉のことは何も知らなかったんですが、説明が分かりやすくて。本業を続けながらでもできるという点が決め手でした」
物件探しと開設準備
1棟目の北方町の物件は、2025年3月に開設。準備期間は約半年ほどでした。
勝原さん:「建設業をやっているので、建物の構造とか消防関係の話はある程度分かるつもりでしたが、福祉施設特有の基準とか細かい部分は全く分からなくて。サポートがあって本当に助かりました」
杉本さん:「物件探しから行政申請まで、ワンストップでサポートしてもらえたのが良かったです。3人とも本業があるので、自分たちだけでやるのは正直無理でしたね」
運営のリアル|「満床スタート」と「地域差の壁」
1棟目は初月から満床、しかし2棟目は…
開業当初の滑り出しは順調そのものでした。
勝原さん:「1棟目の北方町は、オープン初月ですぐに満床になりました。6部屋中5人がスッと決まって。『これはいける!』と思いましたね」
しかし、2棟目の笠松町では予想外の苦戦を強いられます。
柴田さん:「笠松の方はなかなか埋まらなくて…。同じ岐阜県内で、距離もそんなに離れていないのに、地域によってこんなに違うのかと痛感しました」
「相談員さんとの連携」が明暗を分けた
その原因は、地域の支援体制の違いにありました。
勝原さん:「北方は社会福祉協議会の中に相談員さんがいて、連携がすごくスムーズだったんです。役場に挨拶に行ったときも、すぐに相談員さんを紹介してもらえて。でも笠松は外部委託のような形で、相談員さんとの接点が持ちにくかった。『誰に営業すればいいのか』『どこから紹介が来るのか』が見えにくかったんです」
杉本さん:「北方の成功体験があったので、笠松も同じようにいくと思っていたんですが…。地域ごとに仕組みが違うことを学びましたね」
それでも地道な活動を続け、徐々に入居者が増えてきています。
柴田さん:「最初は焦りましたけど、やっぱり一度入居が決まると長く住んでいただける。そこがこの事業の強みですね。短期的には波がありますが、中長期で見れば安定します」
日々の運営|本業との両立とスタッフ体制
サービス管理責任者との二人三脚
3人とも本業があるため、日常の運営は各施設に配置したサービス管理責任者(サビ管)と世話人が中心となっています。
勝原さん:「僕らは経営者として全体を見る立場ですが、日々の利用者さんへの支援はサビ管さんと世話人さんにお願いしています。定期的に報告を受けて、大きな判断が必要なときは3人で相談する形ですね」
杉本さん:「最初はどこまで任せていいのか分からなかったんですが、信頼できるサビ管さんに出会えたのが大きかったです。現場のことは現場のプロに任せる、僕らは経営判断に集中する。この役割分担ができてからスムーズになりました」
本業との両立は?
柴田さん:「本業の方が忙しい時期もありますが、グループホームは仕組みができれば回る事業なので、今のところ両立できています。むしろ、本業が閑散期のときにこちらが安定収入になってくれるので、精神的に楽になりましたね」
勝原さん:「建設業は天候にも左右されるし、案件の波もあります。でもグループホームは入居者さんがいる限り毎月決まった収入がある。経営の安定という意味で、すごく大きいです」
共同経営の秘訣|「2対1」のルールと役割分担
「船頭多くして船山に登る」と言いますが、スリーストライクの3人は驚くほど良好な関係を築いています。その秘訣はどこにあるのでしょうか。
揉めないための「多数決ルール」
杉本さん:「何か決めるときは、『2対1になったら、1の人は従う』というルールを最初に決めています。でも、不思議と意見が割れて揉めることってないんですよね」
柴田さん:「みんな性格が違うからいいのかもしれません。僕はアパレル、杉本はスポーツ、勝原さんは建設。それぞれの得意分野が違うので、自然と役割分担ができています」
勝原さん:「意見が割れないのは、みんな『利用者さんのため』『事業のため』という軸がブレないからだと思います。誰も私利私欲で動いていないので、自然と同じ方向を向けるんですよね」
建設業のプロがいる強み
特に大きな強みとなっているのが、勝原さんの本業である「建設業」のノウハウです。
柴田さん:「建物の修繕とか不具合があったとき、勝原さんがパパッと直してくれたり、業者を手配してくれたりするんです。これは本当に助かってます。僕らだけだったら、どこに頼んでいいか分からないし、ぼったくられるかもしれないですから(笑)」
杉本さん:「消防設備の点検とか、建築基準とか、普通なら業者に全部任せて高いお金を払うところを、勝原さんがいることでコストも抑えられるし、スピードも速い」
勝原さん:「まあ、僕が動くのを2人がじっと待ってるんですけどね(笑)。でも自分の得意なことで貢献できるのは嬉しいですよ」
それぞれの強みを活かす
杉本さん:「僕は野球教室とスポーツショップをやっているので、地域とのつながりは強い方だと思います。営業回りとか、地域の相談員さんとの関係づくりは僕が中心になってやっています」
柴田さん:「僕はアパレルで接客をずっとやってきたので、人とのコミュニケーションは得意です。スタッフの採用面接とか、利用者さんのご家族との面談とか、そういう場面で力を発揮できればと思っています」
苦労したこと、やりがい
予想外の苦労
勝原さん:「やっぱり2棟目の立ち上がりが遅かったことですね。1棟目がうまくいったので油断していました。地域ごとに全然違うということを身をもって知りました」
柴田さん:「あとは、福祉の制度が複雑で。国保連への請求とか、サービス管理責任者の資格要件とか、最初は訳が分からなかったです(笑)。今はサビ管さんに任せていますが」
それでも感じるやりがい
杉本さん:「利用者さんが安心して暮らしている姿を見ると、やっぱり嬉しいですね。本業とは全く違う種類のやりがいがあります」
勝原さん:「社会貢献という意味では、明確に『必要とされている』『役に立っている』と実感できる。これは大きいです」
柴田さん:「本業だけだと、どうしても『売上』『利益』という数字に追われがちですが、グループホームは『人の暮らしを支える』という視点が入る。経営者として視野が広がった気がします」
今後の展望|3棟目、そして「安定」へ
まずは3棟目を目指して
現在は2棟を運営中ですが、すでに次の展開も見据えています。
勝原さん:「当初の計画通り、まずは3棟目までは広げたいと考えています。スケールメリットも出ますし、スタッフの配置もしやすくなる」
杉本さん:「3棟になれば、経営としても安定しますし、事務作業も効率化できます。今は各施設バラバラでやっている部分もあるので、統合して効率を上げたいですね」
本業と両立できる「第2の柱」に
柴田さん:「本業はどうしても波があります。コロナの時なんかは特にそうでした。でもグループホームは、入居者さんがいる限り収益が安定している。心の安定剤みたいなところがありますね」
杉本さん:「本業以外の柱があるというのは、経営者としてすごく安心感があります。これからも3人で力を合わせて、地域に必要とされる場所を作っていきたいですね」
勝原さん:「最終的には、僕ら3人が引退した後も続いていく事業にしたい。それが本当の意味での社会貢献だと思っています」
これから開業を目指す方へのメッセージ
「1人で抱え込まず、仲間や支援を頼ることも大切」
最後に、3人からこれから開業を考える方へのアドバイスをいただきました。
勝原さん:「僕らは3人だったから乗り越えられたことがたくさんあります。1人だったら心が折れていたかもしれない(笑)。信頼できる仲間や、プロの支援を受けることはすごく大事だと思います」
杉本さん:「異業種からでも、想いがあればできます。僕らも福祉の知識ゼロからスタートしましたから。大事なのは、『やりたい』という気持ちと、『任せるべきところは任せる』という判断です」
柴田さん:「迷っているなら、まずは話を聞いてみるのがいいと思います。やってみて分かるやりがいが、この仕事には間違いなくあります。そして、1人でやる必要はない。僕らみたいに共同経営という形もありますから」
まとめ|異業種3人が証明した「共同経営」の可能性
株式会社スリーストライクの事例から学べるポイント:
- 共同経営の強み – リスク分散、知恵の共有、得意分野の補完
- 本業との両立 – ストックビジネスとしての安定性
- 地域差への対応 – 地域ごとの支援体制の違いを理解する重要性
- 役割分担の明確化 – 経営者と現場スタッフの役割を分ける
- 信頼関係 – 揉めない仕組みと共通の目的意識
建設、スポーツ、アパレル──全く異なる業界から集まった3人が、「社会貢献」という共通の想いで立ち上げたグループホーム事業。
「1人では無理でも、3人ならできる」
彼らの挑戦は、これから開業を考える方にとって、新しい選択肢を示してくれています。
取材協力
- 運営法人: 株式会社スリーストライク
- 代表: 勝原貴志 様、杉本隆人 様、柴田康平 様
- 運営施設: 緑の暮らし北方、緑の暮らし笠松
本記事の運営者様は、弊社の開業支援サービスをご利用いただき、本業とのシナジーを生かしながら安定したグループホーム運営を実現されています。
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一般社団法人障がい者自立支援


